エデンの西の片隅で

140字では足りない時に。

「自称BBA」という怪物

よその界隈のことはあまり存じ上げませんが、ジャニヲタ内には「BBA」を自称する文化がしつこい黒カビの如くはびこっています。

 

「BBA」。つまり「ばばぁ」。

ばばぁ=婆といえば、年老いた女性、祖母などを指すようですが、辞書によってははっきりと「罵る言葉」と書かれており、決していい言葉としては使われません。

スラング的な「BBA」も、どちらかといえば相手を罵ったり自虐する際に使われるようです。

 

たまに十代のお嬢さん方が、コンサート会場などで見かけた年上の女性について「BBAがうざかった」などと仰っているのも見かけますが、ジャニヲタ内で「BBA」という文字を見かける時は、高確率で自虐であることが多いように思います。

 

「BBAだから立ち見は辛い」

分かります。ホールやアリーナクラスでの立ち見は公演時間が長いこともあて膝に堪えますよね。

 

「BBAには分からん文化だ」

所謂ジェネレーションギャップですね。V6の曲など歌って元気を出して下さい。

 

「1限の講義とかBBAが起きられるわけないし」

……ん?社会人聴講生の方ですか?……違う。現役大学生。ほう。

 

「義務教育終わったらもうBBAだし」

……そうか。そこから何十年もかけて化石になっていくわけだな。

 

後半二つになってくると、干支二週半を越えた身では涙で画面が見えなくなるわけですが、要は女性自身が、女性の価値の目安として若さを全面的に押し出してくる日本の悪習に染まり切ってしまっている一例なのかもしれません。

この辺は自称フェミ団体の方にもっと頑張って頂きたいところなんですが、あの人達のいうフェミ活動って何かずれt(以下略)

 

それはさておき。

 

そもそも日本は謙遜・謙虚を美徳とする国であり、それを真に受けてはいけない国でもあります。

「私なんて美人じゃないから」と言われれば、「そんなこと(はあるとは言え)ないよ!可愛いタイプ(だって思ってくれる人もいるかもしれない)よ!」とお返事するのがテンプレです。

もはや「儲かりまっか」「ぼちぼちでんな」の世界です。お約束です。鉄板は破られないからこそ鉄板なのです。

 

私だって職場で「まだ若いんだから」と言われれば「いやいや、もう(転職考えるには)若くない年齢ですよ」と答えます。

これは事実だから誰も否定してくれないけど。悲しい。

 

ただ最近の……特にネットにおける謙遜は、多分に自虐の要素が大きいように感じられます。

謙遜とは、「へりくだること、控えめな態度を取ること」であり、自虐とは、「必要以上に自分を責め苛むこと」です。

 

この二つは似て非なるものであり、「自称BBA」は主に後者の意味でつかわれているように感じます。

そう。つまりへりくだっているわけでもなく、控えめにしているわけでもなく、単に自分で自分をいじめる言い草が「自称BBA」なのです。

 

と、別にここまでならまぁお好きにどうぞというか、ドMなんですねで済ませられるところなのですが、「自称BBA」が厄介なのは、これを「免罪符」や「言い訳」として使ってくるところなのです。

 

例えばよくあるのが、「BBAだからファンサをもらえない」という話。

そもそもファンサ自体が幸せな勘違いだと思っているので説得力に欠けますが、そんなジャニーズのタレントみんながみんな、20歳未満で美人でFカップ以上の子限定でファンサするなんて現象、起こると思いますか?

 

自担はおっぱい星人だから!という方については、ぜひ寄せて上げてパット重ねてブラウンのシャドーも塗って偽谷間を作ってさらにちょうど谷間に垂れ下がるようなペンダントトップで視線を向けさせる方法をおススメしますが、おそらくそんな理由でファンサがもらえないわけではないと思いますよ。

 

ファンサをもらう一番手っ取り早い方法は、やはり規定内で目立つうちわを作ることでしょう。

これは私も実践していて一定の効果を上げているのでおススメです。何より、顔の美醜も年齢も関係なくファンサがもらえますから。*1

 

それでもやっぱり若くて綺麗な方が……と仰るのであれば、とにかく努力して下さい。

日々アンチエイジングに励み、肌や髪のケアを行い、舞台メイクなどを参考に、「遠目から見て美しく目立つメイク」を研究して下さい。

 

「〇〇は若い子にしかファンサしない!BBA干された!」などと、根拠のない中傷を垂れ流すのは、名誉棄損です。中には年上好きなタレントだっているかもしれないじゃないですか!美熟女限定かもしれないけど!

 

「BBA」はとても便利な呪文かもしれません。

生まれ持った美醜や自分の努力の至らなさに言及することなく、ただ経年劣化のみを言い訳にできるのですから。

 

しかし「BBA」という言い草は、年上から見れば「あなたがBBAだったら私なんてどうなるの」という無駄なイライラを生み出しますし、年下から見れば「あの年齢になったら自分もBBAなのか」という無駄なボーダーラインを引いてしまいます。

 

また、私のような捻くれた人間から見ると、「自称BBA」は「自ら女としての土俵から降りたんだから、どんなに見苦しくても文句を言われる筋合いはない」という開き直りのようにも取れるので、そんな人が何をどのように語ろうとも説得力を感じられなくなることもあります。

 

せっかく楽しい趣味の世界なのに、「自称BBA」という看板を掲げて自らを貶めてしまうのはもったいないです。

自ら「女」を捨てない限り、あなたはBBAではないのですから。

*1:既に何かやらかしていて顔を覚えられて干されているなどの特殊なケースは除きます。