エデンの西の片隅で

140字では足りない時に。

三隻目の海賊船に乗って~KAT-TUN 10Ksライブから帰還~

KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR “10Ks!”、初日のナゴヤドームに参戦して参りました。

 

今回は比喩などではなく本当に「参戦」です。戦争です。

何せペンライトが銃です。

しかも銃身が赤く光ります。赤一色です。

中丸さんご本人から「血塗れ」とのお言葉も頂きましたので、やはり我々は戦争に行ったようです。

 

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グリップに装飾を施された銃に白い羽。

まるで初期の峰倉かずや作品のような厨二病臭さ。

困ったことに嫌いじゃないんですよね、こういうの。

(そりゃウキウキとセッティングして写真に撮るくらいだからな)

 

さらに今回のコンサート、コンセプトは一貫して「海賊船」でした。

デビュー前の海賊帆、そして2008年のQUEEN OF PIRATES、そして今回の10Ks。

やはりKAT-TUNには無頼で不遜、そしておしゃれな海賊がよく似合います。

 

しかし一口に戦争といっても、KAT-TUNは、そしてファンは何と戦うのでしょうか。

 

例えば海賊帆の頃は、メンバーもまだ若く、デビューできないもどかしさや、先を越していく後輩達、次のデビューを争う仲間達、そしてアイドルとしての型にはめようとする大人達との戦争だったように思います。

 

QUEEN OF PIRATESの頃は…………まぁいろいろありましたよね。

未だにあのツアーの「僕らの街で」辺りを聴くと胃が重くなる元中丸担です。

戦争というよりは、内なる抗争が激しかった時期でしょうか。

 

そして今回の10Ks。

三隻目の海賊船は、過去の二隻よりも戦うことに特化した船でした。

降臨した三人の船長の衣装はKAT-TUNらしいゴージャスかつファッショナブルな逸品。

前半からノンストップで畳みかける攻撃的なセトリはゾクゾクするし、レーザーも特攻も、一切出し惜しみすることなく火を噴きます。

 

そして今までと大きく違ったのは、これまで「盛り上がらねぇと命はねぇぞ!」「俺達についてこい!」と、後ろを省みることなくただがむしゃらに進んでいた船長達が、私達にぽろりと弱音を零したことでした。

 

「人数が減って歌う量が倍以上になってる」

「なのに年は取ったからキツイ」

 

あのかっこつけで斜に構えていたKAT-TUNから年の話が出るとは。

しかし口ではそう言いながら、彼らの戦いには一切の妥協も手抜きもありません。

泣く覚悟で参戦したファン達を、感傷に浸る隙さえ与えずに魅了していくのです。

 

ようやく湿っぽくなったのは、アンコールでの挨拶の辺りから。

「これまでに船を下りて行った人達もたくさんいると思います」

 

その中にはファンも、そしてメンバーも含まれるのでしょう。

中には私のように、小舟に乗ってあちこち彷徨い、戦争だと呼ばれると戻ってくる根無し草の傭兵のようなファンもいます。

 

三人の船長は、これまで幾度となくファンに謝ってきました。

迷惑をかけた。心配をかけた。そう何度も謝ってきました。

 

しかし今回、三人の口から謝罪の言葉はありませんでした。

私はそれが正解だと思います。

KAT-TUNと共に戦ってきたファンは、船長達の謝罪など望んではいません。

ただ不遜に、ステージの上に君臨する王者然とした姿を見せて欲しい。

圧倒的な魅力の前に平伏す快感を味あわせて欲しい。

少なくとも私がKAT-TUNに求めているものはそれです。

そして今回も、KAT-TUNはこちらが求める以上のものを与えてくれました。

 

KAT-TUNから渡された血塗れの銃。これは何に使うためのものでしょう。

擦り減ったKAT-TUNと共に自決するため?

口さがない世間と戦うため?

 

私は最後の挨拶を聞きながら、これは一度立派な海賊船から離れ、陸の上で個々に戦っていく船長達を援護するために与えられた銃なんだと感じました。

 

三人が個々に結果を出すことが、KAT-TUNの再度の船出に繋がる。

だからこそ、戦うための武器を渡し、共に戦おうと言ってくれたのだと感じました。

 

亀梨くんはKAT-TUNを「自分が貫いてきたもの」と言いました。

彼と似た立場の人達の中には、グループを離れた人が何人もいます。

もしかしたら彼自身、そんな選択を迫られたこともあったのかもしれません。

でもどれだけ頭を下げても、どれだけ世間にとやかく言われようとも、KAT-TUNでいることを貫く彼は、高潔で美しく、そして愛すべきKAT-TUNの末っ子です。

親御さんが来ていることを忘れて下ネタに走ってしまい、焦っている姿はとても可愛らしかったです。

 

上田さんは人一倍自分のスタイルに拘る人であり、こうと決めた道はとことん極める人です。

例えばボクシングも、アイドルという職業柄、顔に傷をつけられないということもあってプロライセンスの試験には挑戦しませんでしたが、もしかしたら、アイドルを捨てて挑戦するという道もあったかもしれません。

でも彼は今も、KAT-TUNとしてステージの上に立っています。

たまにショットガンをぶっ放したり、手榴弾を投げてきたりはしますが、まごうことなきアイドルです。

 

中丸さんはとにかくプライドの高い人だと思います。

弄られキャラだったこともありますが、絶対零度の帝王として君臨する今の姿の方が、素に近いように感じます。

「今まで、メンバーが抜けていったこととちゃんと向き合えていなかったのかもしれない」

いいえ。貴方はちゃんと向き合っていましたよ。ちゃんと向き合って、ちゃんと怒ってくれたから、私はまたKAT-TUNと向き合うことができたんです。

 

三隻目の海賊船、とても楽しかったです。

私はまた根無し草の傭兵に戻りますが、次の戦争の時も、必ず馳せ参じます。

三人の船長達が開戦の鐘を鳴らしてくれる日を、心から待っています。