エデンの西の片隅で

140字では足りない時に。

「道頓堀一丁目中間んち物語」に見る吉本新喜劇のDNA

かつて小学校で土曜日も授業があった時代*1、関西の子供達はいつもより軽いランドセルを揺らしながら家へと駆けて帰ると、手洗いうがいもそこそこにテレビの前に陣取り、4chにチャンネルを合わせました。

 

お目当ては勿論、吉本新喜劇

 

劇場のステージの上に作られたセットの上で飛び交うお約束のギャグと、ほんの少しほろりとさせてくれる人情味溢れるストーリーは、子供だけでなく大人にとっても共通の話題であり、吉本新喜劇の座員達はさながらアイドルのような存在でした。*2

 

さて、メンバー全員が関西人(うち一名は帰国子女)であるジャニーズWESTも、当然幼い頃から吉本新喜劇を見て育った子供達です。

そのため、デビュー記念公演「なにわともあれ、ほんまにありがとう!」でも、コントを披露しましたが、そのクオリティーは関西人の目から見ると、まさに完璧な「吉本新喜劇」でした。

 

この記事を読んで下さっている方の中には、当時リアルタイムで公演をご覧になった方や、先日発売されたDVD・Blue-rayを購入された方も多いかと思います。

まだの方はこの機会にぜひ!(回し者ではないけれど宣伝はする)

 

 

 

 さて、知っている方には今更な、知らない方には完全にネタバレな、誰も得しないなにとも語りになりますが、当然のようにショータイムは割愛します!

何せショータイムについては、5分に1回「神ちゃん可愛い」「神ちゃん天使」「あぁツイン美しいなぁおい!」しか言いませんので、割愛したところで差し障りはありません。

 

ちなみにこちらが、Blue-ray初見時の私の呟き。

まぁ死ねなかったんですけどね。だって智子見るまでは死ねないって決めてたし。

 

さて。それではいよいよコント「道頓堀一丁目中間んち物語」について。

こちらも初見時(粉もんで一時停止してお茶飲んで深呼吸して覚悟を決めて一気見した直後)の自分の呟きが全てを物語っていました。

要はそういうことなんですよ!

これはまんま吉本新喜劇!気持ちは土曜日の小学生に戻りました!

現実はいい歳した大人だけど!(泣くなよ)

 

まずはキャスティングの妙。

吉本新喜劇は基本的に座長が主人公と狂言回しを兼ね、美人でみんなの憧れの存在である所謂マドンナが登場します。*3

ただ、中間んち物語について言えば、淳子が主人公とマドンナを兼任している形になっています。

それでは、おさらいを兼ねて登場人物紹介です。

 

淳子(中間淳太・・・中間家の母。おそらく世帯主。1年前に夫と死別し、舅と四人の子供達を抱えて奮闘する美しき未亡人。やたらとツッコミに長けている。チャームポイントは魅惑の喋るお尻。 仕事は不明だが働いてはいるらしい。

崇裕(濱田崇裕)・・・中間家の長男。短ランにリーゼントという由緒正しきヤンキー。この人の存在が兄弟事情をややこしくしているが、個人的に留年説を採用して長子扱いとする。次男と一緒になってはしゃぐよき兄貴。

智子(神山智洋・・・中間家の長女。恋する暴走娘。おそらく学校はすでに卒業している家事手伝い。愛らしいお顔とピンクのスパッツで完全防備された逞しい脚がチャームポイント。

大毅(重岡大毅・・・中間家の次男。緊張感のない受験生。この人がうっかり大学受験とか口を滑らせたせいで兄弟事情(以下略)。制服はどう見てもおしゃれ系私立のブレザーだが、彼が高校に進学した頃にはまだ父が存命だったはずなので、特に問題なかったのだろう。

望(小瀧望・・・中間家の三男。おそらく16~17年ぶりに生まれた年の離れた末っ子。バカボンのはじめちゃんも真っ青な(何せ中身だけでなく外見も)早熟な赤ん坊。彼の乗るベビーカーは、おそらく台車に箱を被せた(スタッフさんへの)特注品。

おじいちゃん(桐山照史・・・淳子の舅。まだらボケ老人。(ド直球)可愛い孫達に囲まれ、日々ボケては金ダライを頭に落とされる幸せ(?)な老後を送っている。嫁に庭掃除を命じられるなど、おそらく立場はそんなに強くない。重岡曰く「明日か明後日には死ぬ」らしい。

照史(桐山照史・・・亡き中間家の主。淳子の夫。居間で寛いでいる時に突然飛んできた日本刀がこめかみを貫通して不慮の死を遂げる。幽霊になっても家族を見守り続ける良き父。生前、美しい妻に悪い虫がつかないように家に奇抜な防犯装置(?)を仕掛けておいた。

藤井巡査(藤井流星・・・中間家の隣の駐在所に勤務する警察官。長身イケメンだが、淳子(どう若く見積もってもアラフォー)に惚れ込んでいるところを見ると熟女好き。母親を狙っているのに娘の智子に惚れられて迫られるという、青年漫画も真っ青のエロ設定持ち。(エロ言うな)霊感があるのか、唯一最初から照史の姿が見えていた。

 

どうよこの新喜劇お約束のキャスティング

 

新喜劇では、昭和の時代から受け継がれる「駐在さんシリーズ」があるほど、おまわりさんは鉄板ネタ。

そして駐在さんが恋する麗しのマドンナと、駐在さんに惚れ込む近所の女の子ももはやお約束!

だったらどうして駐在さんが主人公じゃないんだというツッコミも聞こえてきそうですが、ちゃっと拳銃も出せない駐在さんが狂言回しなんてできるわけないし(…)、だからといって、淳太くんが駐在さんやったら、こち亀の中川くんみたいに大抵のことは金で解決できちゃって新喜劇じゃなくなっちゃうし(…)、結果オーライ!

 

さて、イケメンの駐在さんを追い掛け回す女の子……といえば、新喜劇ではおなじみのあのコンビしかいません!

石田靖島田珠代

石田さんといえば、大学時代にレスリング部に所属していた経歴を生かして、老若男女問わず暴力的な仕切りツッコミを繰り出す新喜劇の座長も務めていた二枚目役!

そんな石田さんの激しいツッコミを受け止めるのは、お昼には少々過激な下ネタを混ぜつつ、意中の男性を激しく追い掛け回す珠代さん!最後は力強く壁にぶつけられるのも、新喜劇のお約束の一つです。

 

そう、藤井巡査と智子ちゃんの下りは、まさにこれなんです!

抱きつく智子ちゃんをぶん投げる藤井巡査。

腕を取ってくる智子ちゃんを締め上げる藤井巡査。

駐在所の壁に智子ちゃんを激しく叩きつける藤井巡査。

そして智子ちゃんにジャイアントスイングを決められる藤井巡査。

小学生の頃、そうめんを啜りながら見た新喜劇そのままの光景に、感動すら覚えました。

 

そう考えると、おじいちゃんのボケ老人っぷりは竜爺こと井上竜夫さんそのものだし、ここで辻本茂雄さんのはちゃめちゃな茂造じいさんではなく竜爺を持って来たバランス感覚もさすが。

 

のんちゃんの役は、吉本新喜劇ならちっさいおっさん(池之めだか&吉田ヒロ辺り)がやりそうだけど、あえて長身イケメンにやらせたことでまた一味違った赤ちゃん像を確立できたのではないでしょうか。(今後どこで生かされるのかは謎)

 

ちなみに個人的なリピポイントは、主に藤井巡査と智子ちゃん、そして照史(幽霊)と藤井巡査の絡みのところです。

 

特に照史が段取りを無視する下りでの流星さん!

「早よ近付けや!近付く段取りやろ!」

「だから近付けっつてんねやろ!(巻き舌)おい!おらぁ!(巻き舌)分からんのか!(見下し)」

完璧!完璧な大阪のヤンキーだよ藤井さん!!

普段は温厚だとか怒らないとか言ってても、あなたにはやっぱり下町ヤンキーの血が流れているのね!*4

 

こうやって他のキャラが濃すぎたせいで、結果的に煽りを喰らった形になったのが、濱ちゃんとしげ。

濱ちゃんなんて完全に出オチですよ!せっかくのリーゼントが泣くわ!

しげに至っては出オチするつもりすらなし!もはや新喜劇で年に数回出てくる野球選手とかアイドルとかのゲスト状態だよしげちゃん!

芸風は若手座員にありがちなやつ(ガヤ)でしたね。

まぁこの二人まで目立ったら、コント自体がとっ散らかって収集つかなくなっただろうし、全体を見れば間違いではないと思うんですが、該当担は淋しかったかもしれないなぁ…と思わなくもなく。

 

ただ!ただ!これだけは言わせてほしい!

リーゼントに短ラン&おしゃれブレザーの現代っ子って組み合わせが!これが!個人的に!これを思い出さされて!

 

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 画像はないんですけど、よかったら検索して見てください。

Mis Snow Man*5主演です!自担主演です!

だからまぁ、私の中では濱ちゃんは昭和50年代からタイムスリップしてきた人って設定でもいいかなって思ってるわけですが。

 

まさかのオチが真田の宣伝ですが、これがうちのブログのお約束なのでご勘弁ください。(ジャニーズWEST DDの真田担)

*1:悲しいかなジャニーズWESTのメンバーは公立の学校で毎週土曜日に授業があったことを知らない世代のはず

*2:実際に私の友人は好きな芸能人としてジャニーズや俳優と並べて内場勝則氏の名前を挙げていました

*3:関西ローカル番組である「モモコのOH!ソレ!ミ~ヨ!」で重岡と共演中の西川ヘレンさんもマドンナ経験者です。

*4:青春を某notジャニの関西弁の双子に捧げた身なので、美形の大阪ヤンキーにはめっぽう弱い

*5:当時。真田と野澤とSnow Man